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2015年1月24日 (土)

インフルエンザにご注意を

今年もインフルエンザの季節になりました。
実は、このブログを再開した1月の初め、私自身もA型インフルエンザに罹り、熱に浮かされておりました。

 1月4日の日曜日の夕方に帰省先から岡山に戻ったところ、喉の痛みと寒気に襲われました。お風呂でしっかり温まり、葛根湯を飲んで寝たら落ち着いたので、月曜日は新幹線と特急を乗り継いで仕事に出かけました。帰りの新幹線で、再び寒気がして喉もイガイガ。火曜日の朝は倦怠感と寒気がさらにひどく、ゲホゲホ咳が出ます。
 この時点で自宅静養を選択すべきだったのですが、この日は子どもの幼稚園の始業式&お餅つき。年長組の保護者として手伝いに行く予定だったし、午前中はハウスキーパーさんが来るので寝る場所もなく、また一旦寝てしまったら12時に子どもを迎えに行く自信がない。。。と色々葛藤した末に、雨の中、マスクを2枚重ね、しっかり防寒してお餅つきの手伝い行きました。帰宅後、倦怠感と関節痛が半端なく、布団にもぐりこんでも寝付けない。。。それでもうとうと寝たり起きたり、炬燵で暖まったり。熱は38.9℃まで上がりました。 
  
 翌朝は熱は36.9℃まで下がりましたが、職場が病院だけに出勤してすぐにインフルエンザの検査を受けると、A型にくっきり線が現れ、イナビルを処方されてすぐ帰宅。翌週の月曜日まで仕事を休み、静養しました。

 今年は一月の初めからインフルエンザが大流行のようです。
 教科書的には、インフルエンザは突然の悪寒発熱、関節痛、食欲不振といった全身の症状から始まって、遅れて咽頭痛や鼻水などの気道症状がみられることになっているのですが、今シーズンのインフルエンザは咽頭痛や咳から始まることが多いようです。
 流行しているのは主にA型のH3N2。もちろんワクチンにも入っているのですが、ワクチンを作るための過程でウイルスが微妙に変異すると効果が落ちるらしく、インフルエンザワクチンの発症を予防する効果は50%を切っているようです。
 
 ツレアイは「生まれてからインフルエンザに罹ったことがない」と言いますし、お餅つきでご一緒したお母さん方にインフルエンザだったことをメールでお知らせしたら、「私はインフルエンザになったことがないので大丈夫だと思います」とお返事下さった方もいらっしゃいました。
 しかし、医療ニュースを見ていると、院内感染で40代の看護師さんが脳症で亡くなっていたり、複数の患者さんが亡くなったり。
 宿主の状態が悪かったり、感染したウイルスの量が多ければ命にかかわる病気ですね。


 A型インフルエンザは時に大きく変異し、多くの人が免疫を持たないために大流行(パンデミック)を起こします。
 20世紀には、1918-1919年のスペインインフルエンザ(H1N1)、1957-1958年のアジアインフルエンザ(H2N2)、1968-1969年の香港インフルエンザ(A/H3N2亜型)の3回あり、1977年からソ連型(H1N1)が出現したものの、高齢者はスペイン型の免疫を持っていたため、パンデミックには数えられていないとのことです。
 また、21世紀に入った2009年の春から重症になりやすい豚インフルエンザ由来のH1N1pdmが世界的に流行し、これまでの季節性インフルエンザと新型インフルエンザのワクチンを別々に接種したのは記憶に新しいところ。

 インフルエンザウイルスは人畜共通の感染症で、宿主の水鳥の腸内に感染していると言われています。ウイルスのヘマグルチニン(HA)が細胞表面にくっつき、細胞の中で増殖してから、HAと宿主の細胞がくっついている部分をノイラミニダーゼ(NA)で切断して出ていく。そして、新たな細胞に感染していきます。
 ヒトと鳥では細胞表面の構造が違い、また体温も違うので、通常は鳥のインフルエンザはヒトには感染しないのですが、一旦感染してしまうと重症な肺炎などを起こして死亡率が高いと言われています。
 豚にヒトと鳥のインフルエンザウイルスが同時に感染すると、パーツの取り換えが起きて、ヒトに感染する新型インフルエンザが出来てしまうというわけです。
 前述の「スペインインフルエンザ」も、実は家畜と人が同じ屋根の下で過ごす中国南部で出現し、大陸横断鉄道を建設中であった米国へ働きに行った中国人労働者を通じて欧米に広まったと、池上 彰「おとなの教養」に書かれていました。ウイルス性肺炎や細菌性肺炎で亡くなる人が多く、第一次世界大戦の終戦を早めることになったほど。交戦中であった国々は兵士にインフルエンザが流行しているのは軍事機密なので公表できず、中立国であったスペインのみ公表したため「スペイン風邪」と命名されたとは知りませんでした。
 インフルエンザは、患者が咳やくしゃみをした時の飛沫を吸い込んだり、ウイルスがついた手で鼻をこすったりして感染します。予防には水でのうがいはもちろん、手洗いや顔を洗うことが有効だとか。(私は医療関係者のくせに、診療以外では無防備だったのがいけませんでした。)
 また、発症(発熱)する前の日から、発症して3日間が最も感染力が強く、学校保健法では解熱してから2日間(幼児では3日間)、もしくは発症から5日間の長い方が出席停止となっています。1週間から10日ほどはウイルスが残っているので、マスク着用や手洗いを心がけたいところです。
 鼻の粘膜を綿棒でこすって調べる簡易検査は発症してから12時間より前は偽陰性のことも多いのですが、抗インフルエンザ薬はノイラミニダーゼを阻害してウイルスの増殖を抑えるものなので、発症して48時間を超えてから服用しても効果が得られないと言われています。
 また、NSAIDs(アスピリン、イブプロフェン、ロキソプロフェン、ジクロフェナクなど)の使用はライ症候群という脳症との関連があるので、解熱剤はアセトアミノフェン(カロナール、タイレノール、小児用バファリンなど)が安全と言われています。
 発熱や関節痛などは、ウイルスに感染した細胞を排除するために自分の体が作るインターフェロンなどのサイトカインの仕業です。無理せず休みなさい、というサインだと思います。
 また、気管や気管支の粘膜が障害されると二次性の細菌性肺炎を起こしやすくなります。昨年から、高齢者の肺炎球菌ワクチンが定期接種となり、平成26年度中に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳のお誕生日を迎える方と101歳以上の方、60歳から65歳未満の方で心臓、腎臓、呼吸器に障害のある方はこれまでの1/3以下の費用で受けられるようになりました。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/tool/dl/leaf03-01.pdf
 
 日本は、世界一の抗インフルエンザ薬の消費国。
 以下に現在処方可能なお薬をまとめてみました。

「anti-influenza.xlsx」をダウンロード

 リレンザやイナビルは吸入薬のため、吸う力の弱い幼児や高齢者、強い咳や肺炎を起こしている患者さんには向きません。
 タミフルは異常行動との関連が否定できないため、10歳代の患者さんには処方を控えるように言われています。
 H1N1ウイルスの4%はタミフル、ラピアクタに耐性と言われていますが、今年は流行していません。
 私は、解熱後もお薬の服用を忘れずにつづける自信がないので、イナビル吸入を選択しました。吸うときに少し咳き込みましたが、熱は下がったままだったので効果はあったと思います。

 長文にお付き合いくださいまして、ありがとうございます。
 子どものころのかかりつけ医は「風邪は3日寝てれば治る」と言っていました。
 名言と思いますが、超高齢化社会を迎え、自分や家族の身を守るために敵を知り、対処していきたいと思います。
 
 
 

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