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2013年2月18日 (月)

ワークライフバランス~不妊・流産のリスク

 暦の上では春ですが、今日は冷たい雨。このところ寒の戻りで陽春が恋しく感じられます。スギ花粉は鬱陶しいですが…

 このブログ、一か月以上も放置していました。書きたいことは沢山あるのに、ハッピーマンデーがあったり、週末にお出かけしたりすると、貴重な月・火のお休みに家事が押し寄せます。加えて、子供の耳鼻科通院のため早めにお迎えに行ったり、スキーに備えて買い物に行ったり、いつ壊れるかわからないノートPCのバックアップを数年ぶりにとったり、細々としたことであっという間に時間が過ぎて行きました。また、ツレアイの親戚はIT化が進んでおり、Facebookでお互いの近況を知ることができるので、ついブログの方が後回しになってしまいます…
 今日は外も雨だし、ツレアイは出張で帰ってこない(=夕食はいつもよりさらに手抜きで済ませる)ので、久々にキーボードを叩いている次第です。

ところで、近年、芸能人の方のおめでたのニュースを聞くたびに、年齢が気になってしまいます。

 辺見えみりさん、東尾理子さんは36歳で、坂上みきさんは53歳でおめでた!なんて聞くと、祝福すると同時に、「でも何回流産したんだろう…」と考えてしまいます。というのも、私は昨年3回目の流産をしたからです。

 初めて流産したのは37歳の時。東京から鳥取県へ引っ越して1年たたない頃。初めての妊娠で嬉しく思ったのもつかの間、心拍が確認されず、繋留流産で手術を受けることに。職場や親戚、友人にも話せず、体調も咳が激しく出て苦しかった。それでも直後に実家の引越しの手伝いに行ったり。まだ今より若かったです。
 この時にかかっていた個人病院の先生に「10回に1回の妊娠は流産です」と言われましたが、深く考えず。

 2回目は長男が1歳半の頃、40歳。心拍が一旦出たものの、自然流産。この時は、かかりつけのクリニックではなく、県立病院で確認してもらったので、それきり受診せず。この時も、咳が激しくて夜眠れなかったし、一回立ちくらみがして職場で歩けなくなりました。その時に上司にもばれました。

 そして昨年、3回目。42歳から43歳にかけてでした。今回は心拍が出ませんでした。もう気持ちの上では平静でしたが、疲れやすいし、咳も出やすい。楽しみにしていた大学時代の友人との旅行もキャンセルしました。前回はおそらく授乳により子宮が収縮して自然流産したと思うのですが、今回は出てこないので再び手術。静脈麻酔は悪夢を見ますね。職場には知らせてないので、翌日出勤するため無理やり当日退院させてもらいました。(アルバイト医には有給休暇はないのです(;д;))
 今回は、不育症の原因と言われる抗リン脂質抗体、甲状腺機能などを調べてもらい、特に異常なし。先生方にも「3回までは偶然だよ」と言われましたが、そもそも流産率ってどれくらいだろう?と思って調べると、古いデータではありますが、40-44歳までは50%超。35-39歳でも25%です。「10回に1回」で済むのは20-29歳までなのです。さらに40-44歳の不妊率は60%超。ということは、約2年に1回妊娠していた私は、いい方なのかもしれません。
http://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/200/110022.html (NHKのブログより)

冒頭の芸能人の方々の例をみても、妊娠を周囲に知らせるのは安定期と言われる第12から16週くらい。 流産なんて本来、他人に知らせる事柄ではないと思うのですが、妊娠がわかって流産するまで2-3カ月は体調や気分が不安定になります。会社勤めの場合、その間に重大な案件とか出張を任されたら、こなせるかどうか私だったら自信がありません。 30-40歳代の働く女性にとって、出産だけでなく流産もリスクだと思うのです。

 実は、このことをブログに書こうと思ったのは、非常勤で外来をやっている病院の看護師さんで、不妊治療を受けている方々が少なくないと知ったからです。妙齢の女性ですと、検査や投薬の際に妊娠の可能性について聞くのですが、「実は先週胚移植したばかりで…」なんてことが少なからずあります。時間が不規則でストレスの多い職場だからこそ自然妊娠は難しいのかもしれませんが、仕事の合間にホルモン治療、採卵、移植を受ける彼女たちをみて、自分はここまでできないなぁ、と思います。

 私が代りにしたことは、「立ち去り型サボタージュ」。激務が続く病院勤務から大学院進学、結婚、転居をへて一線の病院勤務から退き、定時で帰れて当直やオンコールもないパート勤務へシフトしました。最近、研究に教育に精力的に活動するツレアイを見て、自分の現状に物足りなさを感ずることもありますが、それは無いものねだり。あのまま病院勤務を続けていれば、伴侶も子供も得られなかったでしょう。(今の仕事にしても、常に勉強していかなければ落とし穴に落ちてしまいます。当たり前のことを当たり前に行うことが、実は難しい、と自分に言い聞かせています。)

 不妊や流産の原因の一つが、卵子の老化。
 http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2011/04/post_141c.html (ある産婦人科医のひとりごとより)
 ひとくちに「卵子」と言ってしまいますが、正確にはこれは受精後の一瞬しか存在しないのです。卵子ができるまでに、卵母細胞は2回、減数分裂(染色体が半分に減る細胞分裂)を行います。女性がお母さんのお腹にいる時(胎生期)にその第一回目(第一次卵母細胞→第二次卵母細胞)の途中までが起り、停止します。思春期になり、女性ホルモンの働きで排卵される直前に、第一回目の分裂が完了し、受精直後に第二回目の分裂が完了します。細胞が分裂する時には、細胞のまんなかで染色体が並び、紡錘体という糸で両側に引っ張られるのですが、年齢とともに細胞質や紡錘体の劣化が起り、うまく染色体が分かれないので、受精卵が無事に発育しないのです。子宮に着床しなければ不妊、着床した後に発育が止まれば流産となります。
卵巣の一部を凍結したりして、卵子の老化に備える動きもあると、先ほどのNHKのブログに記されていました。

 

 医学部の専門課程で産婦人科も学び、一通りの知識はあったはずの私でも、今回色々調べて納得したことが沢山ありました。米国で卵子提供を受けて51歳で出産された野田聖子議員は、高齢になると妊娠しにくくなるといことを知らなかったとおっしゃっています。
 最近は加齢に伴う不妊について啓蒙活動をすすめるNPO法人なども増えているようです。「子供を産めなくなるかもしれないリスク」「妊娠・流産によるリスク」などについて知識を深めて、賢く生きる女性が増えてほしいと願っています。

 

 

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コメント

キキさん

こんにちは。
キキさんが 流産というつらい経験を 何度もされていたとは知りませんでした。
大変でしたね。

年齢を重ねると 妊娠・出産は難しくなるということ
ある程度は 患者さんが知っているつもりで婦人科外来をしていましたが
そこは認識を改めないといけないのかも、、、。

世の中の傾向として 患者さんはもちろん 身内を含め 未婚未妊のかたが
多くなっていますが それぞれの家庭・子供に対する価値観は多様なので。

子供が欲しいのだけれど と相談されない限り
こちらから 積極的に年齢との関係を説明することは あまりないし 難しいです。
プレッシャーっぽくなってしまう場合もあるし。

minaさん、いつもコメントありがとうございます。
うちの母も、30代に入り何度も流産してと聞いていたので、気持ちが落ち込んだのは初回だけでした。どうも流産の時は咳喘息みたいになってしまい、3回目は開き直って吸入ステロイドを吸ってました。でも疲れやすくて、とても京都に行ける気分ではなかったです…
加齢による不妊・流産のリスクについては、診療の場で、医療者側から一方的に情報を押し付けるわけにもいきませんよね。知ったおかげで不安になったとかで訴えられても困るし。
でもおめでたは周囲に知らせても、不妊治療とか流産はひっそりと進行するので、知らない人は知らなくて、30代後半になって焦るんだと思います。
今回、通った産婦人科の待合室には、「不妊の大きな原因は卵子の老化」などとわかりやすく書かれたパンフレットや雑誌の特集などが置いてありました。押しつけがましくなく、興味のある人は読んで勉強できるので、良い方法だと思いました(゚ー゚)

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