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2012年9月 8日 (土)

「阿弥陀堂だより」南木 佳士 を読んで

先日、スマホからブログの記事が書けるかどうか試している時に、「下書き」を選択する前に保存してしまったのか、題名のみで放置しておりました。adlerさん、ご指摘ありがとうございますm(__)m                                        

 夕方長男を車に迎えに行く頃、ヘルメットを被って自転車で下校する中高生に遭遇することが多くなり、夏休みが終わったのだな…と実感します。内科学会のセルフトレーニング問題の提出期限が今月一杯にせまり、勉強しなくては、と気は焦りますが、ついPCを立ち上げるとネットサーフィンに耽ってしまい、夏休み末の学生の気分です。

 週一回の特急通勤の時も、つい学会誌より小説に手が伸びます。日頃、医療ネタのドラマや映画はほとんど見ないのですが、海堂 尊さんは以前から気になっており、この夏は「アリアドネの弾丸」「マドンナ・ヴェルデ」を図書館で借りて読みました。「アリアドネの弾丸」は田口・白鳥コンビが活躍する東城大学病院を舞台とするシリーズの最新作です。第1,2作の「チーム・バチスタの栄光」「ナイチンゲールの沈黙」は以前に読んでいたのですが、不覚にも第3,4作の「ジェネラル・ルージュの凱旋」「イノセント・ゲリラの祝祭」は飛ばしてしまいました。このシリーズは著者の専門である「Ai(Autopsy Imaging, 死亡時画像診断」を啓発する目的で書かれたと思われますが、個性的なキャラクターや筋立てに引き込まれ、一気に読んでしまいます。「マドンナ・ヴェルデ」は代理母の話。専門的な話題を、飽きさせずに読ませる手腕は素晴らしいなぁと思います。

 でも、海堂氏は放射線科医で長く大学病院や国立の施設で働かれている方で、数年来市中の病院で内科医をしている私の感覚とはフィットしない部分もあるように感じました。エンターテイメントではなく、もう少し患者や医療関係者の機微が描かれた作品を読んでみたいと思ったのです。

 そこで思いついたのが、南木圭士さんです。これまで小説は読んだことはなかったのですが、エッセイか何かで、神経を病みつつ、内科医として町立軽井沢病院に勤めながら、細々と著作を続けている、という経歴に触れたことがありました。町立軽井沢病院は、父が所有する別荘の近くにあり、家族が滞在中に受診したこともありますし、南木さんが住まわれていたという職員住宅の近くを散歩したこともあります。親近感を抱きながらも、何から読んで良いかわからず手をつけていなかったのです。

 そこで、映画化された「阿弥陀堂だより」を図書館で借りて来ました。

 映画の公開は2002年、パニック障害を患う女医の美智子役が樋口可南子さん、妻を支える売れない作家の孝夫役が寺尾聰さんです。東京を離れて孝夫の故郷の寒村に帰ってきた2人は、90歳を超える堂守のおうめ婆さんや町役場に勤める小百合ちゃんという若い女性との交流を通じて、健康を取り戻していくというあらすじです。映画のイメージから、主人公の2人は50歳代かな?(失礼)と思っていましたが、小説の上では40歳を少し超えたあたり。今の私とほぼ同じです。

 私は東京で生まれ育ち、親戚もほとんど東京近郊で勤め人をしていたので、同様の境遇の美智子の田舎への憧れはよくわかります。しかし、孝夫は小学生まで祖母と二人で厳しい農作業に従事していたので、彼女に田畑や薪集め、キノコ採りなどの作業はさせません。ほとんどが山の斜面の棚田なので、今でも田植えも稲刈りも手作業で行う様子が描かれます。倉吉の病院でお会いした「病気をして山へ入れなくなったのが一番辛い」と嘆く山間地の日に焼けた患者さんを思い出し、山や農地に生きる方々への羨望の念を新たにしました。
 また、彼女が神経を病むことになったきっかけを、小百合ちゃんの治療に共闘する若い医師に「(都立病院で)年間何十人もの悪性腫瘍で亡くなる方の死に立ち会ううちに、エネルギーが無くなってしまった」と話すシーンがあり、共感しました。彼女の専門は化学療法科で悪性腫瘍と闘うところですから、寿命でお迎えがきた高齢者を看取るのとは違ってきます。私も独身時代に都立病院で肺癌患者さんや間質性肺炎の患者さんを何人もお看取りするうちに抑うつ的になり、大学院進学を経て結婚・転居して第一線からドロップアウトしました。我が家もツレアイは非医療従事者なので、仕事の話はあまりできません。医療従事者こそピアーサポートが必要なのかもしれませんね。

 そして陰の主役と言えるのが堂守のおうめ婆さん。映画化するとしたら、演じるのは北林谷栄さんに違いない!と思ったら、やはりそうでした。95歳でもトイレの穴を自分で掘り、野菜を自給自足する彼女の存在自体が、将来の不安におののく現代人にとって精神安定剤なのかもしれません。やはり地に足がついた人は強い!

 さらに医療物つながりで、帚木(ははきぎ)蓬生さんの短編集「風花病棟」を読んでおります。なかなか読みごたえがあり、電車の中で何度も目頭が熱くなりました。読了しましたら、またアップしたいと思います。

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コメント

お疲れ様です。
本文が見当たらないのは、ボクだけですか!?
( ̄○ ̄;)!

お疲れさまです。

「阿弥陀堂だより」、読んでみたくなったので、ブックオフで廉価に入手!
ご紹介、ありがとうございました!
m(_ _)m

adlerさん、コメントありがとうございます!
ハイペース(私から見ると)な読破ぶり、感嘆いたします!
私も真山さんの作品を読んでみたいと思っております。

「阿弥陀堂だより」、とてもよかったです。
心が癒されるように思いました。ありがとうございました。

「風化病棟」をブックオフで買っちゃった・・・

年末に向けてちょっとは勉強に力を入れないといけないのに
( ̄Д ̄;;
これだから受からない・・・( ̄◆ ̄;)
ではでは、また。

adlerさん、いつもありがとうございます!
通勤(痛勤!?)電車は、絶好の読書時間ですよね。
学生時代はもちろん試験勉強もしましたが、adlerさんの試験は数時間の詰め込みで済むようなシロモノではなさそう。
息抜きしながらがんばって下さいね!

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