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2012年3月 4日 (日)

いったい何で死ぬのでしょう?

ぶっそうなタイトルですみません。

3月2日の朝刊に、「3大死因」最低に という見出しで、厚生労働省がまとめた2010年の「都道府県別の死亡状況」が発表されていました。

都道府県ごとに異なる年齢構成を調整し、10万人あたりの死亡者数を男女別に算出したもので、全体では男女とも死因別の死亡率(死亡数)のトップはがん(男性182.4人、女性92.2人)で5年前の前回調査よりそれぞれ15.3人、5.1人低下し、過去最低を記録。心疾患(男性74.2人、女性39.7人)と脳血管疾患(49.5人、26.9人)も、過去最低だった前回調査を下回ったとのことです。3大死因については都道府県別の死亡率の低い方と高い方の順位が3位まで掲載されていました。また3大死因の他には自殺の死亡率について、少し触れられていました。

亡くなる方が減った、ということは喜ばしいのですが、私がひっかかったのは「全国で健康対策が進み、死亡率が低下している。調査結果を分析し、さらに対策に役立てたい」という厚労省のコメントです。死亡=悪という意識が透けて見えます。

がんを健診で早期発見治療し、喫煙・高血圧・糖尿病・高脂血症などの危険因子をコントロールして脳卒中や心疾患を予防することで長生きされる方が増えたのは実感できます。私が駆け出しの内科医だった頃、外来に通って来られる方は60歳代、入院される方は70歳代が主力だったように思います。20年弱たった現在、それぞれ15-20歳ずつ年をとっておられます。90歳を超えても、予約の日には一人でバスに乗って、時には自転車で外来受診される患者さんには敬服のかぎりです。

しかし、人間、生まれてきたら必ず死ぬのは自然の摂理ですが、厚労省同様にそのことを当たり前と感じておられない方が増えているように思います。最近、80歳を超えたお母様方に付き添って来られた息子さんに「大学病院で検査を受けさせたい」とか「胃カメラや血液検査はどれくらいの頻度で受けさせれば良いか」などと相次いで相談されました。また、明らかに老衰で嚥下する力が低下しているのに、「食べられないから胃ろうを作って下さい」と紹介されてくる患者さんもいらっしゃいます。

がんを健診で早期発見治療し、喫煙・高血圧・糖尿病・高脂血症などの危険因子をコントロールして脳卒中や心疾患を予防することで長生きされる方が増えたのは実感できます。私が駆け出しの内科医だった頃、外来に通って来られる方は60歳代、入院される方は70歳代が主力だったように思います。20年弱たった現在、それぞれ15-20歳ずつ年をとっておられます。90歳を超えて一人でバスに乗って、80歳過ぎで自家用車で、予約を忘れずに受診される患者さんには敬服のかぎりです。がんを克服された方も少なくありません。

しかし、人間、生まれてきたら必ず死ぬのは自然の摂理です。そのことを当たり前と感じておられない方が増えているように思います。最近、80歳を超えて認知症を伴うお母様方に付き添って来られた息子さんに「大学病院で検査を受けさせたい」とか「胃カメラや血液検査はどれくらいの頻度で受けさせれば良いか」などと相次いで相談されました。いつまでもお元気でいてほしいというお気持ちはわかりますが、出口のない袋小路に詰め込まれた心境になります。

昔、寝たきりの原因の多くは脳卒中と言われました。予防や早期治療、リハビリなどの対策がすすみ、歩行できるようになって退院される方が増えていると思います。しかし、脳血管や運動器が若返る訳ではないので、小さな脳梗塞を繰り返すうちに動けなくなる方が増えている印象があります。虚血性心疾患もAEDとカテーテル治療で救命率があがっていると思いますが、動脈硬化した血管までは若返りません。認知症の方も、はじめはもの忘れや徘徊が目立ちますが、進行すれば寝たきりになられ、嚥下力が落ちて肺炎を起こして病院へこられます。在宅であれば、老衰ということになるのでしょうか。

3大死因の対策をすすめるだけでなく、その結果、今後どのような死因が増えると予想されるのか?そういった点についても報道してくれればいいのに、と思いました。

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コメント

いつも更新を楽しみにしております!
今回、読ませていただいて、以前に書かれていた『「満足死 寝たきりゼロの思想」を読んで』を想い出しました。


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「人は三度死ぬ」
退職し、社会のため、他人のために貢献できなくなった時が『社会死』
自分で自分の身の回りの世話ができなくなり、寝たきりになり、おむつをあてられるようになる『生活死』
そのあと心臓が止まって死亡する『生物死』が訪れる。

「死ぬまで元気でいて、死ぬ時は自宅でぽっくり死にたい」。
意外にも、経済的に豊かな地区には寝たきりが多く、貧しい山間部の地区に理想的な死が多かった。
出た結論が「死ぬまで働け」。
ただし、「金のためではなく健康のために働くこと」。満足な死を迎えたければ、死ぬ直前まで元気でいること。
理想は『生活死』から『生物死』までが一週間。今をどう満足に生きるか、その積み重ねが満足死につながる。
*****

死ぬまで社会との接点は維持しておきたいですね。

Adlerさん、コメントありがとうございます。「満足死」の項も引用して下さり、ありがとうございます。初心にかえってがんばります(^^♪

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