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2011年7月 5日 (火)

「坂の上の雲」を読み終えて

毎日暑いですね。

我が家ではオスの黒猫を飼っていて、そのために家探しに苦労した挙句、5LDKの古い借家に住んでいます。一階は東西南北の窓を開けておくと風が通って涼しいのですが、黒猫が家の周りに出没する野良猫(?首輪をつけているのもいますが)に刺激され、何とか外に出ようと網戸を破ってしまいます。猫が脱走しないように、人間が玄関から出入りする時には、必ず猫の所在を確認しているのですが、出かける間際に家中探しても見つからず、そのうち外から「にゃーん」とやってきます。そんなわけで、昨日は網戸の張り替えをしました。粗忽な私の仕事なので、網はたるみ加減だし、網の切れ端が枠からはみ出して見栄えは悪いですが、とりあえず昼間一人で家にいるときは、自然の風と扇風機で過ごせるようになりました。

先週は仕事の都合で2回、鳥取へ往復しました。おかげで「坂の上の雲」の全八巻を読み終えることができました。

私の日露戦争の知識は、小学生時代に乃木記念館で見た二○三高地攻略までの悲惨な記録と、高校の日本史で「バルチック艦隊を破って、日本が勝利し、ロシアで革命が起きた」と習った非常に限られたものでした。

「坂の上の雲」を読んで感じたことは、ロシアのステッセル、クロパトキン、ロジェストウェンスキーといった司令長官達は日本軍とではなく、ロシアの皇帝や官僚組織の方を向いて戦っていたのに対し、日本側は陸軍の大山巌、児玉源太郎、海軍の東郷平八郎といった首脳だけでなく、軍全体や国民全員がロシアに負ければ日本が滅びるという気概で戦っていたこと。その結果、日本陸軍が力尽きかけながらもロシア陸軍を大陸の北の方へ押し返してから、日本海軍がバルチック艦隊を完全に破り、米国による講和を迎えられ、破産も免れられた。また、ロシア革命を煽動する諜報活動を行ったり、米国のルーズベルト大統領にも働きかけたり、現代の外交下手な日本政府に見習ってもらいたい点も多々ありました。また、当時から日本の新聞は冷静に事実や国際情勢を報道せず、流行にのって戦勝のみを報ずる傾向があったことも知りました。

私が図書館から借りていたのは、1999年の新装文庫版で、第八巻の終わりに、単行本全六巻に付されていたあとがきが、まとめて掲載されていました。そのなかで、司馬遼太郎さんは幼少のころから正岡子規の著作に親しみ、子規と秋山真之が小学校から大学予備門まで同期であったことに気づき、調べるうちにこの小説を書くにいたったと述べています。「明治維新から日露戦争までの三十余年」は「楽天的な時代」で、「社会のどういう階層のどういう家の子でも、ある一定の資格をとるために必要な記憶力と根気さえあれば、博士にも官吏にも軍人にも教師にもなりえた。」「政府も小世帯であり、ここに登場する陸海軍もうそのように小さい。その町工場のように小さい国家の中で、部分部分の義務と権能をもたされスタッフたちは世帯が小さいがために思うぞんぶんにはたらき、そのチームをつよくするというただひとつの目的にむかってすすみ、その目的をうたがうことすら知らなかった。この時代のあかるさは、こういう楽天主義からくるのであろう。」

この物語は主人公の一人で伊予松山の貧乏士族の長男であった秋山好古が、生後間もない弟が売られようとした時に、そのうち自分が食べさせてやると両親を説得し、近所の銭湯の風呂焚き、師範学校を経て、軍人となり、日本の騎兵をつくりあげるところから始まっています。今、日本は人口も収入も縮小傾向なのに借金は膨らみ、これまでの考え方・やり方が通用しない時代が来ているような気がしています。もちろん明治の初めに比べると国も組織も大きく、チームの目的そのものが存在しない世の中ではありますが、何とか乗り切っていかねばなりません。司馬遼太郎さんは40歳からこの物語を書く準備を始め、4年3か月の新聞連載が終わったころ(昭和47年8月)に49歳になったそうです。40年前の同世代の著者からエールをもらったような気になりました。

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コメント

「坂の上の雲」の長編読破、すばらしいです!

自分自身は全巻を読み終えていないのですが、とても興味深くおもしろく読める本だと思っています。

ベストセラーにもなった「坂の上の雲」ですが、司馬さんは、存命中、テレビ化、映画化を断られていたと聞いています。
戦争には、正しい戦争というのは無いので、能動的に読む本とは異なり、少なくとも受動的となるテレビ、映画によって、戦争肯定と近視眼的に見られることを懸念されたのでは、と思っています。

いま、司馬さんが亡くなられて、そして、「坂の上の雲」はテレビ化がされています。

一人一人が気をつけていけるといいな、と思っています。みなが本を読んだ上で、テレビを見ると良いのかもしれませんね。

一方、司馬さんが「坂の上の雲」を書かれたときと同じ年代の自分・・・
比較しても仕方が無いので、自分なりにがんばろ~ (^-^;

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