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2011年6月 2日 (木)

知っているようで知らない明治~司馬遼太郎「坂の上の雲」を読んで

昨日は鳥取に仕事に行く日で、図書館に予約していた「坂の上の雲」の第3、4巻が手に入ったので、往復の電車内でどっぷり日露戦争開戦直後の世界に浸っていました。

高校生頃から池波正太郎や藤沢周平の時代小説を愛読していましたが、司馬遼太郎の小説はところどころに解説文が入るのになじめず、ほとんど読んだことがありませんでした。でも、避けては通れないような気がしていて、いずれは挑戦しようと思っていました。

「坂の上の雲」を最初に選んだ理由は、たまたま図書館の蔵書検索で文庫本があったこと、NHKのドラマの宣伝が目に焼き付いていたことなどです。さらに、5月2日付のブログでふれた新庄村の「がいせん桜」が日露戦争の戦勝を記念して植えられたということを知り、「こんな山の中の宿場町で、何故それほどまでに住民が熱狂したのだろうか?」と疑問に思い、明治の人たちのことをもっと知りたくなりました。

まだ全8巻の3巻目を読み終え、明治27年に日清戦争があり、明治35年に正岡子規が亡くなり、明治37年に日露戦争がはじまったばかりのところですが、新庄村の人々が日露戦争の戦勝に狂喜したのがわかり始めました。

そもそも19世紀は帝国主義の時代で、国家は帝国となり領土を拡張するか、植民地にされるか二者択一しか無かったと著者は解説します。日本では幕末に植民地とされる危機に対処すべく明治維新が起きて近代国家を目指し、まだこれといった産業は無いにもかかわらず、南下政策をすすめるロシア帝国に対抗するために軍備を増強し、朝鮮を死守しようとする。しかし、日清戦争に勝って得た遼東半島を三国干渉によりロシアに取られてしまう。ここまでは歴史の授業で習ったことですが、著者は日清戦争から日露戦争までの10年間の日本を「奇蹟」と表現しています。この10年間の国家予算の約半分が軍事費で、日清戦争時には全くなかった戦艦6隻と装甲巡洋艦6隻をそろえ五大海軍国の末端につらなるようになったとのこと。『この戦争準備の大予算そのものが奇蹟であるが、それに耐えた国民のほうがむしろ奇蹟であった。』 『この当時の日本人が、どれほどロシア帝国を憎んだかは、この当時にもどって生きねばわからないところがある。』この頃、臥薪嘗胆ということばが流行し、『日本人は大げさにいえば飲まず食わずで(日本海軍を)つくった。』

『一つの時代がすぎ去るというのは、その時代を構築していた諸条件が消えるということであろう。消えてしまえば、過ぎ去った時代への理解というのは、後の世の者にとっては同時代の外国に対する理解よりもむずかしい。』

若かりし頃わずらわしく感じたこれらの解説が、司馬遼太郎さんの小説の世界を味わうためには必要不可欠であることがようやくわかりました。また、明治の新庄村の人々がロシア帝国に勝って喜ぶ気持ちも。

改めて戦争をしない憲法のある時代に生まれたことに感謝しつつ、読み進めて行きたいと思っています。

ところで、minaさん。有川浩さんのおすすめ、色々ありがとうございます!岡山県立図書館にも図書館戦争シリーズなど多数収蔵されているようです。でも、人気作家さんの本は貸出から戻ってきたら予約の棚へ直行してしまうから、ほとんど書架に無いんですよね。予約して気長に待ちます!

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コメント

主婦 時々内科医さんの細やかな観察力とそれを綴る卓越した文章力に
いつも感心して読ませていただいています。

丁度 今私も「坂の上の雲」の秋山 好古・真之とその時代・・・池田 清著を
読んでいます。
黎明期のこの国に全身と全霊をつかって生きた二人を通して見える、この時代に
まっこと、いきいきとした躍動感を感じ興味がつきません。

遅まきながら、「坂の上の雲」全8巻に挑戦してみましょう。

興味深く読ませていただきました。ありがとうございます。
改憲論は無くなりませんが、憲法第9条は、大事にできればと思っています。

また、1週間に3度もブログ更新。素晴らしい!

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