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2011年6月21日 (火)

「満足死 寝たきりゼロの思想」を読んで

先週末、長男を連れて東京の実家に帰ってきました。

いつもは法事や旅行の前後にあわただしく寄るだけだったので、今回は三泊四日でのんびり。友人一家とも食事できたし、電車を乗り継いでツレアイの実家にもお邪魔してきました。長男はほうぼうで祖父母や従兄姉、叔父母にかわいがってもらい、元気に帰宅しました。新幹線や電車の中ではよく寝てくれ、助かりました。

ところで、以前読んだ本をブログネタにしようと思いつつ、帰省の準備などで先延ばしにしていました。「満足死 寝たきりゼロの思想」 です。

この本は、1972年(昭和47年)から高知県の僻地の町営診療所で診療をされ、「満足死の会」を主宰されている疋田善平医師をノンフィクショ作家の奥野修司さんが取材し書かれた新書です。疋田医師は予防医学に取り組んで寝たきり老人を激減させ、住民が望む在宅死を実践されました。

勤務先の病院で寝たきりで意思表示もままならない高齢の患者さん方に接し、「こうならずに済むにはどうすれば良かったのか?」と自問する中で、答えをもらった一冊です。

この中で「人は三度死ぬ」という話が出てきます。退職し、社会のため、他人のために貢献できなくなった時が『社会死』、自分で自分の身の回りの世話ができなくなり、寝たきりになり、おむつをあてられるようになる『生活死』、そのあと心臓が止まって死亡する『生物死』が訪れる。今は『社会死』から『生活死』までが20-30年。『生活死』から『生物死』までも5-10年はざらで、その間はだれかのお世話にならなくてはならない。

疋田医師が地区の住民に、どんな死に方なら満足かたずねると、「死ぬまで元気でいて、死ぬ時は自宅でぽっくり死にたい」。意外にも、経済的に豊かな地区には寝たきりが多く、貧しい山間部の地区に理想的な死が多かった。出た結論が「死ぬまで働け」。ただし、「金のためではなく健康のために働くこと」。満足な死を迎えたければ、死ぬ直前まで元気でいること。理想は『生活死』から『生物死』までが一週間。今をどう満足に生きるか、その積み重ねが満足死につながる。

その他にも『尊厳死』は二人称三人称の死で、『満足死』は一人称の死などの概念が豊富なエピソードで語られるのですが、本書のエッセンスは上記に凝縮されているように思います。

私の母は心臓と認知症を患い、最後の1年間は訪問診療と訪問看護にお世話になりながら入退院を繰り返しましたが、自宅では自分でトイレにも行き、食事もしていました。肺炎で入院して約一週間で亡くなりました。母は最期まで自力で生きようとし、家族も協力して『満足死』を実現できたと胸が熱くなります。

いつかは、自宅で過ごしたい患者さん方の力になれる医師になりたいと思っています。

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コメント

とても興味深く読ませていただきました。

ありがとうございます。

お医者さんは定年無しなので、大丈夫ですね。

会社員は難しいかもしれませんが、今はとりあえずビンボー暇なしで働き続けます!
あっ、これだとお金のためか・・・今は生活費がかかっていて(Excuseダ・・・)・・・いつかは健康につながる社会貢献をしたいと思います。 m(_ _)m

adlerさん、コメントありがとうございます(^。^)
勤務医は一応定年がありますが、定年後に非常勤で勤めに出る人も多いですね。開業医や病院開設者は80歳超えても診療されている方もいます。「満足死」を提唱された疋田医師も、町営診療所を一度定年でクビになりかけたところを、住民の要望で減給受け入れて80歳過ぎまで勤務されたそうです。我が家も2歳の長男が一人前になるまで細々とでも働き続けねば。現役世代はお金のために働き、その結果お金の悩みが少しでも軽くなって健康のために働ければ幸いと思います。

自分の事として興味深く読ませていただきました。
社会死は既に半分経験し、残りの2死に一番近い距離にいる La nonna keikoの
今後の指針になる文章でした。

幸い 適当に貧乏ですし、たえず何かの用事に追われていますし又自分の好きな
事に対しては全く労をいとわず求めるという性格 この3条件を活かしてスムースに
生物死にたどり着けたらいいですね。

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